ふたたびの家

ふたたびの家 【香芝市】
壊すのではなく、活かすという選択。
心地よさは、骨組みの中に眠っていました。
解体予定だった築30年の中古住宅が、もう一度「家族の暮らし」を描く舞台に生まれ変わりました。
ハウスメーカーが手がけた軽量鉄骨の強固な骨組みと、陽だまりが差し込む南向きの立地。
そして何より、奥さまの「実家のそばで暮らしたい」という想い。
私たちは、目に見えない価値に耳を傾け、この家を壊さずに活かすという決断をしました。
住まいの中に眠る価値に目を向けたとき、“壊して建て直す”のではなく、“今あるものを活かす”という選択が、ご家族にとって最も自然な答えだったのです。
1階は間取りを見直し、キッチンや水まわりの動線を一新。
猫たちが快適に過ごせるよう、キャットウォーク家具も造作しました。
2階は既存の構造や雰囲気を活かしながら、必要なところだけを最小限に整え、家全体のバランスを図っています。
「実家のそばで、猫と暮らす」。
そんな等身大の夢から生まれた、“新築でも中古でもない、私たちらしい暮らし”。
ご家族のこれからの時間を優しく受けとめる、「再編集」というかたちの住まいが完成しました。
猫と人の、いい距離感
今回のリノベーションでは、ご家族と一緒に暮らす猫たちの居場所づくりも大切なテーマでした。
既存の窓の位置に合わせて収納も兼ねたヌックを造作し、ヌック横にキャットステップを設けることで、猫たちは人のすぐそばを通って、ヌック上のキャットウォークへ。
猫が自由に動き回る立体的な動線と、人も猫も自然と集まり、互いが心地よい距離感で過ごせる空間を設計。
“猫と暮らす”ではなく、“猫と共有する暮らし”を叶える住まいになっています。
残すと、整える
1階はこれからの暮らし方に合わせてリノベーションしましたが、2階はあまり手を加えすぎず、もともとの和風建築の雰囲気を活かし、古いものと新しいものが調和するように設計。
2階の和室は照明や襖をそのまま残し、柔らかいトーンのベージュの壁紙やブルーの畳など、ご夫婦それぞれのお好みを取り入れて、“古き良きもの”がお好きなお施主様に愛着を感じていただけるよう、和の趣と新しさが心地よく混ざり合う空間に仕上げました。
見えない価値を見極める
工事前に初めてこちらの住まいを訪れたとき、表面的な汚れや古さが目につきました。
しかし、目に見える部分だけで判断するのではなく、構造や躯体の状態を丁寧に確認し、家としての“中身の強さ”を見極めた上で、活かす価値があると判断しました。
平岡工務店では、中古住宅における「見た目に惑わされない目利き」を大切にしています。
リノベーションにおいて最も重要なのは、デザイン性の高い空間に仕上げることではなく、これからも安心して住み続けられるお家にすることです。
この家も、家の状態を丁寧に見極めたからこそ出会えた、“活かす価値のある住まい”でした。
既存階段を有効利用した玄関スペース。
ダイニング横に収納とキャットウォークを兼ねたヌックを造作。
壁付けから対面型キッチンにしたことで、見渡せるようになったリビングダイニング。
キッチン→洗面→浴室と一直線で短い家事動線。
ガス衣類乾燥機で乾かした洋服を、すぐに収納できるウォークインクローゼット。
やわらかな北欧パターンのアクセントクロスがポイントの1Fトイレ。
使いやすい2型キッチンでお料理が楽しみに。
家族の楽しげな団欒が目にうかぶダイニング+ヌック。
キャットステップから続くヌック上のキャットウォーク。
収納量たっぷりのカップボード。
施主様をイメージして、ダイニングの照明とテーブルは、丸くやわらかにコーディネート。
美しく生まれ変わったLDK.
洗面はグレージュのワントーンコーデ。
リビングのフォーカルポイントは、目をひくブルーのソファ。
既存に塗装を施し、新しい空間に馴染む建具。
before 玄関スペース
before ダイニング
before リビング
before トイレ
before 2階和室
before 既存建具
before 外観
Old bones. New life.