伝えにくいことを伝える*
実家の近くで中古の戸建を購入し、リノベーションして住みたいと希望されたお客様と一緒に物件探し。
エリアを絞っていたので、中々ご希望の物件に巡り合えず、気が付けば4ヶ月が過ぎていました。
少し希望のエリアを諦めかけていた時に、南東角地で陽当たり良好、実家も近い、小学校も近い、スーパーも近い、購入費も予算内。
まさに、理想通りの物件に巡り合うことに。
早速、ご夫婦と一緒に現地に同行し、内覧しながらリノベーションした場合の間取りの話をするにつれて、こちらも徐々に物件の魅力に惹かれていきました。
「この物件いいね!」
と、ご夫婦も気持ちの整理が出来始めたご様子。
しかし、物件選びは楽しい話ばかりではなく、改装費やメンテナンス費用が総額でどれくらいかかるのかも検討しなければなりません。
中古物件リノベーションは、見た目をオシャレに改装する費用よりも、「外壁の防水塗装」や「屋根の葺き替え」「シロアリ対策」などに多くの費用が掛かるケースが、実は少なくないのです。
今回の物件は築43年の古い建物でしたが、外壁も塗装済みで、室内も綺麗、陽当たりも申し分のない、とても良質な物件だなと感じていましたが、念のために屋根裏も見ておくことに。
屋根裏に上がり、外壁面を確認していくと断熱材が結露で濡れている様子が目に飛び込んできました。
(「こ、これは癌に蝕まれている。。。!」)
そのようなことにっているとは知らず、施主様は満面の笑みを浮かべておられます。
「妻とも相談して、この物件で決めようと思うのですが、平岡さんはどう思いますか?」
『外観の雰囲気も良いし、陽当たりもいい、立地条件や購入費用も考えたら83点位だと思いますよ。』
「それって、買いってことですよね?」
(すごく伝えにくい空気を感じる)
『いや・・・実はね・・・』
『僕は、この物件やめておいた方が良いと思ってるんです。』
「えっ・・・」
お客様の表情が一変し、静まりかった雰囲気に包まれます。
そこで、さっき屋根裏で見たことを包み隠さず、詳しくご説明。
購入意欲が高まっているご夫婦に、マイナスの要因をお伝えするのはとても辛く勇気のいることです。
事実をお伝えした後、
(本当に正しい判断だったんだろうか。。。)
(修繕費用は高くなるけど、お勧めしたほうが良かったんじゃないか。。。)
(でも、修繕費が多く掛かると、お客様のやりたかったことが出来ない可能性もあるしな。。。)
一人になってからも頭の中で考えが巡ります。
今回は、結果的に物件は見送る選択をされましたが、
物件を調査して、お客様のメリット・デメリットを考えながら瞬時に答えを出すのは本当に難しいです。
しかし、お客様のためになるのであれば、伝えにくことも、躊躇なく伝えなければいけないなと思っています。